1: 野良ハムスター ★ 2017/05/24(水) 17:38:16.70 ID:CAP_USER9.net
■人間と機械の融合がもたらす超人化

永遠の命。超人的肉体。無限の知識。前回に紹介した「トランスヒューマニズム」を通じて、これらは実現が可能である。トランスヒューマニズムとは、圧倒的なテクノロジーを背景に地球規模で進む人類総超人化プログラムであるということもできるかもしれない。

人類総超人化のひとつの側面は、人間と機械の融合にほかならない。たとえば、経頭蓋直流電気刺激(tDCS)というテクノロジーがある。これは、弱電流を脳に流し、それによって反応時間や学習時間を短縮するという方法だ。この方法論はすでに、アメリカの軍部でスナイパー(狙撃手)育成のカリキュラムに組み込まれている。チップ状のディバイスを体内に埋め込み、それが生みだす電流を脳内の特定部位に向けて送るというメカニズムだ。

気持ちや思いをコンピューターに流し込むための方法も開発されつつある。人間の脳とコンピューターがつながり、高度に発達したAIと連動しはじめるときに起きることは何だろうか。

文明そして人類の進化は、折れ線グラフにたとえれば緩やかな右肩上がりの直線で示されるものであったはずだ。しかしこの100年あまりで、人間の寿命は倍に延びた。生体工学テクノロジーの発達とともに、心臓をはじめとする人工臓器も飛躍的な発展を遂げている。こうした目に見えるかたちの成功を背景に、肉体的能力の向上も実現した。パラリンピックに出場するアスリートたちのパフォーマンスを見れば明らかだろう。

テクノロジーの進化の圧倒的なスピードとトランスヒューマニズム思想が共鳴現象を起こしながら、未来に向けての唯一かつ絶対的選択肢というイメージがひとりでにできあがりつつある。

■ホモ・デウスに行き着く優生学

ゾルタン・イシュトヴァンをはじめとするトランスヒューマニストたちが目指す進化は、“ダイレクテッド・エボリューション”(指向進化)と表現されることが多い。

ごく最近、ダイレクテッド・エボリューションのひとつの方向性が具体的なかたちで示されることとなった。

イスラエルの歴史学者であり、世界的ベストセラー『サピエンス全史』の著者で、2017年2月に新作『ホモ・デウス 未来の短い歴史』という本を出版したユヴァル・ノア・ハラリ教授は、ドイツの有名週刊誌『シュピーゲル』(2017年3月18日号)のインタビューで次のように語っている。

「人類(ホモ・サピエンス)は現在も進化中で、将来、科学技術の飛躍的発展によって神のような存在=ホモ・デウスに進化していく」

進化という長い過程を軸にして考えれば、ここに至るまでにはかなりの時間が必要だろうことを想像してしまうのだが、どうやらそうではなさそうだ。ハラリ教授は次のように言葉を続ける。

「数世紀後ではなく、数十年後に到来する状況だ。進化はすでに始まっていて、人類もその領域に入りつつある。バイオエンジニアリングやサイボーグ技術、そして無機生命体といった分野で成果がもたらされれば、人間は神のような存在になる。20万年前の人類は石斧さえ作れなかったが、現代の人類は宇宙船やコンピューターを作り、遺伝子の解明も進んでいる」

ただし、来るべき時代はすべての人にとってバラ色というわけにはいかないようだ。

「一部の人間は神のようにスーパーメモリーとスーパーインテリジェンス、そして不死性を手に入れるが、大部分の人類はそこまで行かずにとどまる。19世紀中は工業化によって労働階級が生まれたが、21世紀はデジタル化が進み、新しい階級が生まれる。それは“無用者階級”である」

ハラリ教授の言葉は、トランスヒューマニズムという言葉に宿る“不自然さ”をわかりやすく説明したものなのだろうか。

「ありとあらゆる種類の製造工程でオートメーションが進むため、人間の労働者は働く場を失っていく。兵士も同じだ。サイバースペースが主戦場となり、実戦面に投入されるのはドローンになる。3Dプリンターの発達で、繊維関連の労働者も不要になる。ロボットが工業分野のみならず、サービス産業でも人間から職場を奪っていくだろう。コストが安く、安全な自動操縦車が登場するので、ドライバーという職種もなくなるはずだ」


(「ムー」2017年6月号より抜粋)

http://gakkenmu.jp/column/11615/
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