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過去記事再掲載について
サイト移転時にお蔵入りになってしまった過去記事の復活を行っていましたが、ようやくほぼ全ての記事のサルベージが終わりました。
復活掲載に関しては完了しましたが、しばらく古い記事に修正や手直しを加えたものを深夜帯、時事性の無い記事のみに限り引き続き掲載させていただきます。ご了承ください。
モス男、金子たちが居ない時期の古ーい記事もありますので、懐かしむ気分で楽しんでいただければ幸いです。
126: 霊視士 大山傑士 2014/05/01(木)02:27:52 ID:???
霊視士 大山傑士 「序章」

私の名は大山傑士(おおやま たけし)。周りの者はみな私の事を「オッサン」と呼ぶ。
私にとって不幸だったのは小学生の頃クラスに大山という子がもう一人いたことだ。
そいつは「オーヤン」と言うあだ名がついた。だがフケ顔の私に付いたあだ名は「オッサン」だった。
あいつさえいなけれ私のあだ名は「オッサン」ではなく「オーヤン」だったはずだ、悔しい。
あれ以後、私のあだ名はずっとオッサンである。最近ではあだ名に年齢が追いついたせいでシックリくるのがなんか悔しい。

それはさておき、
私はいわゆる「見える人」である。
神社の宮司や寺の住職は私を「霊視士」と勝手に位置付けてくれちゃってる。
物心つく頃には普通の人間には見えないものを視覚的に認知できた。
人によって見方感じ方というのはそれぞれのようで、脳に直接映像が流れる感じも入れば普通に視野に入ってしまう人がいる。
私の場合は後者にあたるのだが、さらに私の場合は視野に入って来た情報を意図的に脳内でコントラストを高めるような処理をすることで見えにくい弱霊でも感知できる。
ようするに私は見える幅が他の霊能力者や見える人と比べて桁外れに広いのだ。
ただし、私は見えているだけで対象の正体とかわからないし除霊なんかも当然できない。
とは言え霊の類いを確実に見れる私の能力はある種の職業の方には受けがいいようで、地元の神社や寺で時々呼ばれることがある。
神社の宮司も寺の住職も霊能力者ではないが(気配くらいは感じるらしいがアテにならない)、神事や法事においては本人以外の力を借りてそこそこ霊力を発揮できるようで除霊もそれなりに効果ある。
ただし本人達は除霊が巧くいったかどうか私抜きには確認できないのだがw
というか、そもそも除霊を頼みにくる人達で本当に霊に憑かれているケースなんかほとんど無い。
相談者をコッソリ見て何も憑いていないことを宮司や住職に告げると彼らはニヤリとする。
「調べたところ何かの霊に憑かれているとか霊症にかかっているということは一切ございません。何もしなくても問題はございませんが、もし気になるようでしたらお祓いいたしますが如何しますか?」
こう言われると
「じゃあお願いします」
とほとんとの人は応じてしまう。その割合実に9割以上!これで相談料+お祓い料をゲットである。
ボロい商売だがこちらは嘘は吐いていない。極めて健全な商売である。
しかし中には本当に憑かれてしまったケースもありこちらはチトやっかいだ。
そういった私の体験談を酒を飲みながら書き連ねいていこうと思う。

127: 霊視士 大山傑士 2014/05/01(木)02:28:49 ID:???
霊視士 大山傑士 第一話「桜の季節」

私の名は大山傑士(おおやま たけし)。周りの者はみな私の事を「オッサン」と呼ぶ。
日本が最も華やかで美しい季節「春」・・
でも美しい期間は桜舞う短い期間のみ、その後は華やかではないが新緑の美しい日本へと変化していく。
まあ、無理矢理言葉を作るのは止めましょう、理屈抜きに桜は良いもんですわな。
同居している母方の婆様が信州の生まれで高遠城や三峰川の桜の話をちょくちょくしてくれまして、
そんなに美しいなら婆様が生きてるうちに一度花見がてら里帰りさせてあげようかと言のですが、「しんどいからいい・・」と寂しい顔して呟くだけ。
今年で99歳になるうちの婆様だが、最近弱気になりがちなのが少々気になる。

それはさておき、
うちの近所にはまるまる桜だらけのS山がある。
下の方は公園で上に上ると展望台と霊園があって年中何かと人が絶えない山である。
ある年、農会の花見でS山の公園に場所の仲間一人と確保に行ったときの事。
ここは桜の季節は超人気スポットなので週末の場所確保は至難の技だ。前日の夜に夜桜花見客が帰った後に入れ替わるように場所を確保しなければならない。
ところで桜の木も古木となると時折何かが憑いている事がある。まあ憑いているのか巣くっているのかはわからない。
桜の木自体が祭壇的な役割を持ち野良神を呼ぶのかもしれないがまあ実のところ解らない。
わからないこと尽くしだが一介の一見える人の俺にはなんとも判断しようがない。
この公園には2つの何かが存在している。
一つは雲のようなモコモコしたもので桜の花に沿って纏わり付いている。
もう一つは四足動物のような何かが桜の古木を登ったり降りたりしている。
この二種は仲が悪いようでモコモコが四足動物の巣くう桜の木の枝に侵入するやいなや、四足動物がダーと枝を伝って威嚇して追い払う。
まあ一種の縄張り争い的な何かって感じだ。
で、この四足動物の桜の下で宴会してるグループの酔っぱらった一人が突然、
-えろえろえろえろぉ、うげぇぇぇぇぇぇ!!!-
と吐いた。
その直後、もの凄い殺気というか怒気を四足動物が発した。
少し間を置いてそのグループは何故か殴り合いの喧嘩をはじめ、シラケムードの中かたづけだけはキッチリして帰っていった。
間髪入れずに場所を確保しようとする仲間。しかしそれを俺が阻む。
「オッサン、なんで止めるんや」
「いや、ゲロ臭そうやろ?もう少し待って他の場所にしようや」
そんな僅かなやり取りの間に別のグループの場所取り係が占拠した。
結局2時間程待たされたが別の場所の確保に成功、その場で夜を明かした。
翌日、朝9時頃に農会のメンバーがやってきて花見を楽しんだが、例の四足動物の下に陣取ったグループは殴り合いの喧嘩をしていた。

128: 霊視士 大山傑士 2014/05/01(木)02:30:38 ID:???
霊視士 大山傑士 第二話「除霊失敗」

私の名は大山傑士(おおやま たけし)。周りの者はみな私の事を「オッサン」と呼ぶ。
私自身は自ら入信した宗教とかは無い。
が、我々日本人とは面白いもので生まれるとすぐ地元の神社の氏子になり、なぜか死んだ後はお寺のお世話になる。
まあ生粋の神道関係者やキリスト教信者、カルト宗教信者はどうか知らんが。
世の中いろんな宗教があるが、今のところ私が深く関与しているのは地元の神社とお寺だけですんでいる。

それはさておき、
今日は昼過ぎから地元の寺の住職から除霊の誘いが入っている。
面倒くさいが誘いに付き合えば、後で住職のおごりで飲みにいけるので断りはしない。
昼過ぎに寺に着いて相談者をこっそり覗く。
- あ、これアカンやつや -
今回は今までのような相談者の思い込みではなく本当に何か憑いていた。
守護霊とやらの可能性も否定はできないが、相談者になんらかの被害が出ているところを見ると恐らく守護霊ではない。
除霊でガッポリお金が入ると思っている住職にそのことを告げると明るい顔はみるみる曇っていった。
とりあえず憑いているモノの視覚的な特徴をメモして渡す。
住職はメモを見てからもっともらしい説明を相談者にする。
そしてダメ元で除霊が始まった。私は隣部屋の相談者の死角になる位置からこっそり覗き見する。
うん、たしかに相談者に憑いているものは反応はしているし多少苦しんでいるのかもしれない。
が、やっぱり全然ダメで追い払えない。そりゃそうだろう、この住職は実は除霊の修行などほとんど積んでいないのだから。
除霊が終わりかけた頃に住職に×のジェスチャーを送る。
「残念なのですがとても強い霊が取り憑いており拙僧の力では追い払えませんでした」
そう言ってお帰りいただいた。
こういうケースの場合、相談料・お経料を取らないところが悪徳霊感商法とは違うところだ。
残念だが今日は飲みに行けないようなので家に帰って仕事をした。

129: 霊視士 大山傑士 2014/05/02(金)01:44:58 ID:???
霊視士 大山傑士 第三話「パチンコ屋にて」

私の名は大山傑士(おおやま たけし)。周りの者はみな私の事を「オッサン」と呼ぶ。
私は若い頃パチンコ屋によく打ちに行った。
私が20代後半の頃はまだ現金機が主流でパチンコ台のスペックも楽しく遊べるものが多かった。
今のようにリーチがかかってから1分以上も時間を費やしたあげくハズレるなんてバカスペックではないし千円で15回転~20回転しか回らないようなボッタクリ釘調整でもなかった。
90年代は一回の出玉平均2400発前後・LN制1000円あたりの平均回転数30回転前後(等価交換無制限遊戯でも25回転前後)・保留玉連チャン有り・・店も客も確かに共存していたのだ。
フィーバークイーンIIやエキサイトジャックのような面白い台でまた遊びたいものだが、今の時代はヤヤコしい上にボラれる一方で楽しめないから嫌いだ。

それはさておき、
ある夏の日の晩、熱帯夜でたまらんかった私はパチンコ屋に涼みに行くことにした。
昔と違いパチンコを打つことなどしない。
待ち客のための大型テレビの前で持ち込んだビールとツマミを店にバレないようにチビリチビリと飲み食いしながら野球中継に集中する。
いやもしかしたら店にはバレているのかもしれないが見て見ぬふりをしているのかもしれない。
その野球も早く終わり時刻は21時を回ったころ・・
- 頃合いだな -
私はパチンコ客を観察する。
パチンコ客もこの時間帯になると色が分かれだす。
勝って余裕な者、ちょい負け・ちょい勝ちで一安心な者、大負けして熱くなっている者、逆に青くなっている者、発狂している者・・
人それぞれいろいろな思いを巡らせているのだが基本は良くない思念だ。
そんな負の思念を発散させている連中が大勢いる場所で、奴ら邪霊の類いが集まってこないはずがない。
見渡せば居るわ居るわホールは邪霊の巣窟と化している。
ホール内を歩きまくり泳ぎまくるそれら邪霊(実際は何かはわからんが)を、まるで水族館で魚を見る感覚で眺めた後、
最後のビールを一口ゴクリと喉を鳴らせて飲み干し店を出た。
家に帰ると家族にタバコの臭いが染み付いた私を露骨に嫌そーな目で見られたが無視して風呂入って寝た。

130: 霊視士 大山傑士 2014/05/03(土)02:40:06 ID:???
霊視士 大山傑士 第四話「精霊と害虫」

私の名は大山傑士(おおやま たけし)。周りの者はみな私の事を「オッサン」と呼ぶ。
宮司や住職は私を霊視士と勝手に位置付けてくれちゃってるが私の本業は園芸農家だ。
パンジーやベゴニアのような花苗からポトスやドラセナにガジュマルなどの観葉植物まで幅広く生産している。

それはさておき、
うちで生産しているガジュマルは「キジムナー」という赤い神の子供の姿をした精霊が宿る樹と言われている。
しかしながらウチでも長くガジュマルを生産してきたが未だにキジムナーさんとやらには遭遇したことはない。
かわりに遭遇するのは「カイガラムシ」「ハダニ」などの害虫ばかり。
まあ害虫対策はしっかりしているのでそうそう大きな被害にはならない。
しかし発生したのなら当然薬剤で駆除する。
駆除と言えば聞こえは悪く無いですが要は虫の大量虐殺ですな。
で、ここからが私にだけ起る弊害で、死滅させた直後より何やらガジュマルにポツポツしたモノが見える。
最初は害虫の生き残りかと思ったが、よーーーーーーーく見ればそうではなくコイツらには実態が無い。
早い話、虐殺された害虫の霊ぽい何かのようだ。
まあこれらは弱霊のようで死後数分~2日ほどで成仏(?)して消えて無くなるからいいのだが。
ところで前述の精霊キジムナーだが実はこれ沖縄の精霊らしく、いくらガジュマルを生産しているとはいえ本州にはいるわけないのだ。
いつか沖縄旅行にでも行く日があれば目にすることもあるかもしれない。

135: 霊視士 大山傑士 2014/05/04(日)03:41:42 ID:???
霊視士 大山傑士 第五話「食料品売場」

私の名は大山傑士(おおやま たけし)。周りの者はみな私の事を「オッサン」と呼ぶ。
好物はカレーで嫁に無理言って毎週金曜日には必ずカレーにしてもらっている。
ちなみに私は自衛隊関係者ではなく園芸農家である。

それはさておき、
ある日、嫁とスーパーへ食料品を買いに行ったときの事。
カレーの具材を主になんやかんや買い物カゴに放り込んで行く。
ここで「ん?食料品??」とピンと来た人もいることだろう。
なんせここには殺された獣・殺された魚・乾物となってミイラ化したスルメなどたくさんの非業な最後を遂げた生物が陳列されている。
当然そこに居座る霊たるや天文学的な数に登るはず。
だが安心していい、スーパーの食料品売場には霊の類いはほぼ皆無。陳列している食品に憑いてる様子もない。
だいたい魚や動物を食ったくらいで霊に取り憑かれて霊症にかかるならとっくに人類絶滅している。
まあなんにせよ牛や豚の霊などスーパーで見た事など一度もない。
だがしかし!畜産業者や屠殺業者はどうなんだろうか?・・・とも思ったが、彼らの商売が続いてるということは家畜の怨霊などとは無縁なのだろう。
でも知ってる人は知ってるんだけど、牛さんが屠殺される時って自分が殺されると悟るとガチで涙を流すんだよね、恨んで悪霊になったりしないんだろうか?
まあそういう事を知ってはいるけど思い出さないようにしている。
ああ、今日のカレーは肉が柔らかくて美味しいなぁ。

136: 名無しさん@おーぷん 2014/05/04(日)08:47:23 ID:???
>>135
昔から伝わる話で、肉牛扱っている家に角の生えた子供が出来た話しを読んだ事あるわ。

139: 霊視士 大山傑士 2014/05/05(月)00:47:11 ID:???
霊視士 大山傑士 第六話「ダンジリ」

私の名は大山傑士(おおやま たけし)。周りの者はみな私の事を「オッサン」と呼ぶ。
私はダンジリ祭りが好きだ。と言っても我が町のダンジリ祭りが好きなだけで他町のダンジリにはあまり興味ない。でも岸和田ダンジリだけは大好きだけどね。
で、ダンジリというと岸和田ダンジリを真っ先に思い出して走り回る様を連想されるかもしれないが、多くの地域のダンジリは概ねゆっくりと練り歩く。
元々多くがその町というか村の五穀豊穣と無病息災を願いゆっくり練り歩く秋の儀式の一環のようなので、むしろ岸和田や南河内のように走り回ったり夜遅くまで替え歌を歌いまくったりするのは特異なのかもしれない。
あとダンジリというものは神輿とは立ち位置が少々違うような感じがする。
神輿が氏神(産土)のマイカー的存在(所有者は神社)なら、ダンジリは氏子が用意した氏神専用車(所有者は氏子)って感じだろうか。
実際の管理運営は別にしてニュアンス的には。

それはさておき、
私の町は結構歴史があり伝統ある祭りがおこなわれ秋には町内をダンジリが練り歩く。
昔と違い多くの町村では農地から宅地へと代わり田畑が住宅に変わっていく中で、ど田舎の我が町においては田畑は健在で秋の祭りでダンジリが練り歩く大義名分の「五穀豊穣祈願」は決して形骸化していない。
ところでこのダンジリに憑いている・・と言う言い方はいささ失礼かもしれないが、祭りの最中のダンジリには神社の神霊、つまり氏神(産土)が乗っておられる。
これは宵宮や本宮の神事(奉告祭・安全運転祈願祭)の際に本殿からダンジリに移られるのだが、それが神輿の発輿祭のように神霊本体が全て乗り移られるのか、分霊されて乗り移られるのかはちょっとわからない。
ただハッキリしているのは神霊が乗られたダンジリはズッシリ重く感じる。そして私のような見える者には時おり眩しく映る。
ただ最近、多町の祭りにおいてダンジリにそうした眩しさが全く見られないものが出始めている。
ぶっちゃけ言うと、その地車には神霊が乗っていない。神霊の乗っていないダンジリはただの動く木箱にすぎない・・と言えば言い過ぎになるが実際そうだから仕方がない。
どういうことなのかと少し他町のダンジリに張り付いて調べてみたところ概ね5つのパターンがあった。

パターン1:最初から神霊が乗っていない
朝の神事の段階ですでに乗っていない・・というかこれは神霊の乗車拒否か?
なぜこのような事が起きるかわからないが、どうも農地が少ない地区には多い感じがした。

パターン2:越境すると神霊が消える
ダンジリには隣接地区と顔合わせするために越境したり、時にはより遠くに進むことがたまにある。
こういうパターンの時は神霊が途中喪失されることがあるようだ。つまり神霊の途中下車。
ようは神社の受け持ち区域を度を超えて離れると少々マズイみたいだ。

パターン3:そもそも最初から神社に神霊がいない
これが一番最悪なパターン。どんな理由によるものかは知らないけれど、氏神(産土)が神社から居なくなってしまっている。
最初から居ないのだからそりゃダンジリに乗せようがない。しかしありえるのか、そんなこと!?
日本の神々はけっこうアバウトだから氏子の信仰があんまり無くても居なくなったりはしない・・ハズ。
でも現実に居ないのだからどうしようもない。

パターン4:なぜか神事を受けずにダンジリを曳航している
過去に分村やら枝分けした地区のダンジリに時おり見られる。
本来所属している神社へ何らかの原因で宮入できなくなった場合など、神事無しでダンジリ曳航することがあるようだ。

パターン5:そもそも神社に属していない
ふつうの神社ではなく寺や権現に属する非常に珍しく希有なダンジリ。なので神道の神霊など乗っているわけがない。
ただ神霊とは違う何かが見える。もしかしたら権現様の類いなのかもしれない。

「うちのダンジリと神社に限ってそんなことあるわけないwww」
とタカを括ってるあなた!
余裕かましてると氏神(産土)にソッポ向かれるかもしれませんぜ!


140: 名無しさん@おーぷん 2014/05/05(月)15:33:36 ID:???
>>139
神様も人に頼られないと、神社からいなくなっちゃうって聞いたことある

142: 名無しさん@おーぷん 2014/05/05(月)16:29:28 ID:???
年寄りが神事以外でダンジリを出すなっていう理由がわかったような気がする。

143: 名無しさん@おーぷん 2014/05/05(月)18:32:07 ID:???
地方自治体がよくやってるだんじりカーニバルとか神道を無視する行いしてると
そのうち神罰くだって事故とかおきそうだなw

144: 霊視士 大山傑士 2014/05/06(火)01:31:25 ID:???
霊視士 大山傑士 第七話「結界」

私の名は大山傑士(おおやま たけし)。周りの者はみな私の事を「オッサン」と呼ぶ。
うちの町の神社の歴史は古く祭神も複数祀られている。
「割と有名な大社の分霊」と「渡来系武将の末裔の剣豪が神格化した神霊」の二つの神様でかなり強いらしく、どれくらい強いかと言うと、
「うち神様はめちゃくちゃ強い!そんじょそこらの物怪など神社に近づくことすらできんのだ、うはははは!」
と酔っぱらった宮司が飲み屋のネーチャンに力説するくらい強いらしい。
これが飲み屋の客に尾ひれが付いたりして拡散されて言っているらしく極普通の神社の癖に除霊相談が結構な頻度で来る。
まあこれ以上詳しく話すと特定されるのでこの辺で黙っておくことに。

それはさておき、
ある日、うどん屋でミックスうどんを食べていると宮司から急な除霊相談が入ったから今すぐ来てくれと連絡が入った。
うどんを全部食って店主と雑談してから神社へ向かう。
神社に着くと宮司が鳥居の外で待ち構えていた。どうやらもうすぐ相談者が来るそうだ。
聞けば依頼者の同僚が見える人とかで、「何か悪いモノに取り憑かれている」とか言われたらしい。
で、思い当たる事が多すぎるので思い切って高い金払って除霊を試みた。でも除霊しても除霊しても見える同僚曰く「全然追い払えてない」との返事しか返ってこない。
途方に暮れてヤケ酒飲んでたところを飲み屋のネーチャンにここを教えてもらった。
・・・などと経緯を聞いてる間に依頼者がやってきた。なるほど、確かに何か憑いてる。
それにしても貧相で陰の薄そうな人だなぁ・・それになんか心持ちビクビクしている?
その依頼者、開口一番「すみません、今20万円しかないんですがこれで足りるでしょうか?」ときた。
宮司と顔を見合わせた後に笑った。出張料込みでも今まで10万を超える除霊料金なんぞ取った事が無い。
それを告げると依頼者は安堵の表情を浮かべた。なんでも今までの除霊師達に計100万以上ボッタくられたとか。
とりあえず取り憑いてるモノの見た目をメモしてそっと宮司に渡し、立ち話しててもしょうがないので社務所へ向かった。
その途中、鳥居をくぐった瞬間「パシッ!」と依頼者に憑いていたものが弾けて消滅した。
あまりにも影の薄い依頼者だったが、憑いていたのもこれまた影の薄い弱そうなモノだったからなぁ・・まあなんとなく予想はしていた。
その事を宮司に告げて私は家に返った。
翌日の晩、宮司から誘いがあって飲みに行った。
昨日の依頼者の件を聞くと、「相談料除霊料合わせて1万円頂戴した」、「依頼者から「同僚曰く、憑いてたものが居なくなった」と報告があった」とか。
--ふうん、私以外にも見える人ってやっぱりいるんだな、--
そう思いながら焼酎をグイと飲んだ。

145: 霊視士 大山傑士 2014/05/06(火)01:35:29 ID:???
霊視士 大山傑士 第八話「除霊士転じて」

私の名は大山傑士(おおやま たけし)。周りの者はみな私の事を「オッサン」と呼ぶ。
世の中には様々な職業があるが除霊を専門にしている人もいるようだ。
全ての除霊屋を疑うつもりはないけれど、どうも胡散臭さがプンプンしてならない。
なんか「おまえが言うな」って声が聞こえてきそうだけど。

それはさておき、
前回の依頼者がまた相談に乗ってほしい欲しいと宮司から連絡があった。
また何かに憑かれたのかと思い行ってみると依頼者と宮司が私服で待っていた。
とにかく一度自宅の方に来て家に何か憑いていないか見て欲しいとのことだ。
なんでも以前に関わっていた除霊事務所から「このまま放置していると悲惨なことになる」との警告されたとか。
とりあえず依頼者の家まで依頼者の車と宮司の車で向かう。
依頼者の家に着いて家の周りや中を見て歩く。
宮司が「特になんにも感じんなぁ・・」とポツリ。俺も注意して見てるけど特に危なそうなのは何も見えない。
結論、異常なし。
そのことを依頼者に告げると件の除霊士がもうすぐ来るとか言い出した。
もう面倒くさいから帰ろうとするとお礼は弾むからと強引に引き止められてしまった。
半時程して黒塗りの糞高そうなベンツで乗り付けて除霊士他一名がやってきた。
依頼者を見るなり「悪霊の勢いが増している、このままでは遠からず命を落とす」と、なんかトンでもないこと言い出した。
依頼者に「ウソウソ信じるな」のジェスチャー送るもパニくってオロオロするのみ。
さらに私たち二人に向かっても「あなた方にも女の生霊が憑いてる、このままでは確実に災いをもたらすだろう」とほざいた。
その間に除霊士の従者がテキパキと除霊の準備を始める。
もう呆れて帰ろうとすると我々の分も初回無料で除霊してやるからじっとしてろ!と命令しやがった。
ピキッ#て来てそれならヤってもらおうじゃないかとドカッと座り込んだ。
そして除霊開始・・の前にどんな除霊をするのか宮司が尋ねると「生霊死霊除金縛法」だと答えた。
宮司にコソっと何それと聞くと「早い話がよく無い霊を降伏させる法」と非常に解りやすく簡潔に答えた。
「こりゃ密教だな」とマジマジと除霊士を観察する宮司。
除霊が始まって5分もした頃、従者が何やら髑髏(ドクロ)を供えだした。
宮司がアレ?て表情をしたそのすぐ後、除霊士が
「ノウ・モラチノウチラヤ・ダモガリチエイ・マカヤキヤシテイ・アバキヤエイ・・ナンタラカンタラ・・」
と長いのを唱えだす。
突然「ちょ、ちょっと待てい!」と血相かえて割って入る宮司。
なんでも除霊士が唱えたのは密法の「鬼子母神現身髑髏使役秘法」ってやつで髑髏を供えると強力な呪いがかかる外法らしい。
てことはこの除霊士は依頼者に対して除霊どころか呪いをかけてたってこと?・・なんとエグイことしよるなぁ。
内容をバラされて一瞬たじろぐ除霊士、いや呪術士と言うべきか?そのあと逆切れして悪態つきながら帰っていった。
それにしてもさすが宮司、宗教が違うのによく知っとんなぁと感心した。
世の中、偽除霊士・除霊詐欺士はおそらくたくさんいるのだろうけど、まさか除霊依頼に呪いをかける呪術士がいるとは夢にも思わなかった。
それからは呪術士は二度とこなくなったそうな。

146: 名無しさん@おーぷん 2014/05/06(火)08:36:23 ID:???
>>145
わぁ一番アカンやつじゃん
こういう呪術師ほど、人に地獄へ落ちるとか、お前呼ばわりするよね
傲慢で人に命令的に指図する
自分がヤバいとこと繋がってる事に気付いてない
つか、呪術師の時点で霊も可哀想な目に遭いそう

最近ここ面白いんで毎日見てる
他の人の話も面白い

152: 霊視士 大山傑士 2014/05/08(木)04:24:53 ID:???
霊視士 大山傑士 第九話「痴呆」

私の名は大山傑士(おおやま たけし)。周りの者はみな私の事を「オッサン」と呼ぶ。
ここだけの話、昨日なぜか家中で婆様と私だけで過ごした。
子供達はキャンプ、嫁様は婦人会の旅行、親父とお袋は老人会の旅行。
婆様は決して寝たきりではないが、解除添えが必要で目が離せない。
老人介護というものは実際にやってみないとキツさは理解できない。普段は嫁様とお袋様に任せてはいるが、かなりストレス溜まっていることだろう。

それはさておき、
うちの向かいの家の爺ちゃんがボケた・・・らしい。
らしいというのは、なぜか客に対しては普通に接しているのだが、家族だけになると異様な行動・言動をとるという。
この爺ちゃんは子供の頃からいろいろと世話になってる人で、だんだん壊れていくのが悲しくて仕方がない。
ある時、用があって件の爺ちゃんの家に言った時に若奥さんが疲れきった表情でボヤいた。
最近は認知症が進んだ上、痴呆も進み自室や縁側で一人でしゃべって一人で怒っていることが多いそうだ。
うちも他人事じゃないよなぁと思いつつ爺ちゃんに挨拶していくことにした。
爺ちゃんは縁側で何も無い空間に向かって話しかけていた。
ほらね、あの調子なんですよ・・と若奥さんのうんざりした顔。
でも実は一人なんかじゃなかった。
爺ちゃんはよくわからない何かに向かって議論の真っ最中のようだ。もっとも相手の声とかは私には聞こえず見えてるだけなんだが。
そして私の姿を見るや爺ちゃんはソレに向かって私の自己紹介をした。
しょうがないので「あ、ども」とお辞儀をすると向こうもお辞儀をした。
どうやらコミュニケーションは可能なようだが、面倒は嫌だし別に死神とか悪霊とかでもなさそうなので早々に退散した。
若奥さんは「すみませんね、合わせていただちゃって」と申し分けなさそうに言った。
爺ちゃんの家族の人達は爺ちゃんのことをボケたと思っているかもしれないが、どうもボケたのではないようだ。
それどころか、あれだけしっかり議論できれば当分ボケることもないんじゃないだろうかw
私は今は見えるだけの人だが、歳を重ねれば爺ちゃんみたいに霊と会話ができる日が来るのかなぁ・・と、ぼんやり思った。

153: 名無しさん@おーぷん 2014/05/08(木)16:12:35 ID:???
お辞儀ウケたw

154: 霊視士 大山傑士 2014/05/09(金)00:16:13 ID:???
霊視士 大山傑士 第十話「隣の奥さん」

私の名は大山傑士(おおやま たけし)。周りの者はみな私の事を「オッサン」と呼ぶ。
「地縛霊とは、自分が死んだことを受け入れられなかったり、自分が死んだことを理解できなかったりして、死亡した時にいた土地や建物などから離れずにいるとされる霊のこと。あるいは、その土地に特別な理由を有して宿っているとされる死霊。」
上記はウィキペデアからの引用。
死んだ事を理解できなかったり受け入れなかったりして地縛霊になるのは何となくわかる。誰だって死にたくはないもんだ。
しかしその場所に特別な理由を有して地縛霊になるというのはどんな理由だろう・・
現代社会においては生前にパソコン内部に保存していた如何わしい写真や動画などを守るために地縛霊になる例もあるかもしれない。

それはさておき、
あるとき住職にも除霊の相談が来たとかで こちらの都合も聞かずに向こう自らやってきた。
そのまま車に乗って依頼者の家に向かう。
依頼者の家について車を邸内に止める際に ガツ ふち石に車をぶつけた。
フェンス越しに、お隣の家の奥さんと思われる人が驚いた顔をしたあとクスクスと笑っていた。
バツわるそうに軽く会釈をすると少し驚いた顔をしたあとに会釈を返してくれた。
感じの良さそうな人だなぁ、ごっつ好みや・・とか思いつつ家の中に入ってさっそく調査。
依頼者は毎晩金縛りにあい、女の幽霊の夢にうなされると言う。
しかし何にもいない。依頼者に何か憑いてるというわけでも無い。家にも庭にも何も無い。
肝硬変でも発症してて単にヒキツケでも起こしてるだけなんでは?と思って依頼者に問うとそんなことは無いという。
家の2階に上がり窓から下を見下ろす。隣の家の庭も視界に入り奥さんがコチラに気付いてニッコリと微笑んだ。うーん、ええ女や。
でもなんか違和感。なんだろう、この不自然さ?
隣の家は雨戸が全部閉め切られ、庭もよく見れば雑草が生えまくっている。かつては花鉢で賑わっていたであろう玄関の花も全て枯れている。
まさか、まさかまさか、ありえるのかそんなこと!?いくら私が見える人だからって、こんなにクッキリハッキリと見えたことなど一度もない。あれは生きてる人とほとんど変わらないんだが!?
慌てて住職を呼んで俺の指差す方向に何かいるか確認してもらう。
最初は何もおらんと言っていた住職だが思わず二度見して目をシパシパしている。どうやら一瞬うっすらと何か見えたようだ。
見えない人でも見えてしまうほど安定して括られている霊・・となると地縛霊ってやつか?それもかなり強いやつ!?
向こうも自分の存在を完全に確認されたと認識したのか嬉しそうに笑顔で手を振っている。
そして人差し指を自分の顔に向けた後、今度は自分の真下を指差す、そして最後に依頼者に向けてバキューンと拳銃を打つジェスチャー、よく見れば奥さんの立ってる所だけ土の色が違う。
なんとなくわかったような気がした。
そのことを住職に告げると少し考えてから依頼者に説明に言った。
住職は
「あなたや家には何も憑いていない、何も問題は無い。ただ隣の庭から女性の霊がずっとあなたを見ているようだが」
と説明すると一瞬こわばった顔をしたのちに、「問題が無いのならもういい」と料金を倍払ったのち追い出されてしまった。
帰り際に住職が奥さんに「よければお経を唱えて成仏させてあげましょうか?」と見えていないくせに問いかけた。
奥さんは首を横に振ってから深々とお辞儀をした。・・そう住職に伝えると住職もお辞儀をして私たちはその場を去った。
半年ほどしてから近くを通りかかったが、依頼者の家も奥さんの家も更地になっていた。

155: 名無しさん@おーぷん 2014/05/09(金)05:58:20 ID:???
>>154
これは後味悪いなぁ
犯人は捕まってないのかな

156: 霊視士 大山傑士 2014/05/10(土)00:47:36 ID:???

霊視士 大山傑士 第十一話「微霊能力者」

私の名は大山傑士(おおやま たけし)。周りの者はみな私の事を「オッサン」と呼ぶ。
実は私は「常人には見る事が難しい霊」なんかが見えてしまう「見える人」である。
中々この「見える能力」というのは面倒なもので無視していいようなモノも思わずよけてしまい周囲に人に「?」と思われたりすることもシバシバある。
いっそのこと、どうでもいいような霊など見えなくなれば楽なのだが。

それはさておき、
もう大分前の話だが、うちの圃場の前の農道は小学校の通学路になっている。
その通学中の小学生の中に面白い子がいた。
最初気がついたのはその子が小学二年生か三年生くらいだったか。
「○○の後ろに悪霊がいるぞ、エンガチョ切った!」
「うわ、みんな離れろ、エンガチョ切ったw」
とか、
「あの電柱の陰に地縛霊がいるぞ、みんな目を合わすな!今から俺が成仏させてやる!」
「ひえええ、成仏してくださいナムナム・・」
とか
「畑のオッサンのまわりにオーブが!」
「あのオッサン、悪霊やったんや!」
(ハッ、なぜ俺のあだ名がオッサンであることを知ってる!?)
とか。
どうも一人見える少年が混ざってて霊が見えたと大騒ぎして周囲を沸かしているようだ。しかーし、その少年がワーワー言ってる対象に霊など居ないんだが?
長い事観察したが、どうも霊が見えたというのは嘘で遊んでいるだけのようだ。たまに本物の霊が浮遊してたりするが少年は全く気がついてないので本当は無霊能力なのだろう。
やがて月日が経ちその少年も6年生くらいに成長した頃、彼は相変わらず「ぎゃああああああああ!」と騒いではいるが周囲の子供達はもう反応しなかった。
それどころか
「おまえもういい加減にそれやめろよ」
「うざいぞ、帰ってからやれよ」
と迷惑がられる始末。
少年は誰からも相手にされなくなっていた。それでも自分の存在をアピールするために来る日も来る日も大騒ぎする少年だった。
オオカミ少年の末路だなぁ・・トボトボ歩く少年を見てなんとも言えん気分になった。
その少年があるときピタリと足を止めて一点を凝視して固まった。
そして一拍置いて「で、出た!悪霊だ!」少年の悲鳴。
それに対する周りの子供達の冷淡な態度。みんなしてスルー。
まあいつも通りの反応だ。ただ一つ違うのは今回は本当に霊が存在していることである。
霊は少年に見つけられてよほど嬉しかったのか彼の方に凄い勢いで迫っていく。
「た、たすけてええええええええええ!!!」
猛ダッシュで逃げる少年。しかしこれはどういうことだろう?
以前は霊が目の前にいても気付きもしなかったのに今回は少し離れた場所の霊を確実に確認している。霊能者として開眼したのだろうか。
後日、いつもの通学路で珍しく何かの霊が漂っていた。そこへ例の少年が歩いていたが気付かずにスルーしてしまった。
・・・ああ、なるほど、そういうことか。ようするに少年は見えるレンジが少ない微霊能力者なのだ。ある程度強い霊的存在でないと見えないようだ。。
少年は小学校を卒業するまで相変わらず大騒ぎしていた。
中学に上がってからは通学路が違うようで全く見かけなくなったが相変わらずなんだろうなと思った。

数年後、どこかの高校の修学旅行にて
「うわああああああ、悪霊がいっぱいいるぅ!やめろ、こっちくるなぁぁあああ!」
「この野郎、何が悪霊じゃい、楽しい気分に水をさしやがって!」
ドカッ、ガスッ、
「見えないやつはいいよな、おまえらには俺の苦悩は永遠にわからん!」
「まだ言うか!」
バキッ、ドゴッ、
「ひでぶっ!」

163: 霊視士 大山傑士 2014/05/11(日)01:28:40 ID:???
霊視士 大山傑士 最終話「続・桜の季節」

私の名は大山傑士(おおやま たけし)。周りの者はみな私の事を「オッサン」と呼ぶ。
時の経つのがえらく早く感じる今日この頃。
じっさい時の経つのは早いもので10年20年30年なんてすぐに過ぎてしまう。しかもたちの悪い事に歳を重ねる程に時間の過ぎ方が加速していくような気がする。
まあこれは老化により濃密な時間を過ごせなくなってるせいもある。
え?濃密な時間を過ごせないってどういう意味かって?それは自分で歳を重ねて感じるようになる日までのお楽しみってことで。

それはさておき、
とある年の桜の季節のこと、平日の昼間からS山公園に桜見がてらに散歩に行った。
前に話した通り、ここには二つの霊だか妖怪だかわからない「何か」が巣くっており互いに激しく縄張り争いをしている。
四足動物型と雲型のやつで桜の生気を食らっているのか、それとも桜を守っているのかはわからない。
まあ観察してる限りは人間にたいしては大きな危害は加えないようだ(桜に向かってゲロ吐いたりしない限り大丈夫)。
適当なところでヘタリこんで持参したカップ酒とスルメで一人花見をはじめる。
するとどこからか ー ワン! ー 甲高い犬の声が聞こえた。振り返れば少年が子犬を連れて散歩中のようだ。
が おや? と思い重い腰をあげて少年と子犬の方に歩いていった。
生後4ヶ月くらい柴犬の幼犬だろうか、しきりに何かに向かって吠えまくっている。
私は思わず声に出てしまった。
「ほぉ、それが見えるか」
突然言葉をかけられ私の方を向く少年。
「何が見えるんですか?」
少年の問いかけ、私は
「なんだかよくわからないものが見えるよ」
と答える。
「幽霊とかですか?」
「さあ、なんだろうね。わしには見えてるというだけでその正体まではわからんよ」
「どんな形ですか?」
「なんかモコモコして雲みたいなやつだよ」
なんか胡散臭いオッサンだな・・ という目で私の方を見る少年。
それならと
「犬連れて向うの桜の方にいってみな」
「行くとどうなるんですか?」
「さあ?吼えるか逃げるか尻尾ふるかどうなるかはわからんw」
なんなんだと、まだ空中に向かって吼えている子犬を引きずって桜を目指す少年。
が、途中から子犬が自ら走って桜に向かった。
しかし途中でピタリと止まり全力で桜に向かって吼えた。
少年はなおも桜に近づこうと子犬をひっぱると
キャイン!
子犬は情けない声で鳴いてその場から逃げようとした。
少年はまた私のところに戻って聞いてみた。
「いったい何が見えてるんですか?」
「動物ぽい何かだな。でもよくわからん。クッキリと見えるわけじゃないんだし、見えても正体わからんだろうな。ワシはオカルトの専門家じゃなくただ見えるだけだから。」
そういって私は去った。

早いものであれから10年が経ちまた桜の季節。
件の公園にてカップ酒で一杯やってると青年が柴犬の老犬を連れて散歩していた。
もしやと思い注視してると ーガウッ!ー 老犬のひと吠えで雲型のヤツが三分の一ほど消滅した。
ギョっとしてさらに見続けると今度は四足動物型の方に向かって ーワンッ!ー とひと吠え、別に敵意は無いようだ。
向こうもなんか挨拶代わりに吠えてる感じがする(聞こえないけど)。どうやら仲が良いらしい。
それにしても随分な霊能犬に育ったいたもんだ、今度宮司や住職の除霊の手伝いでも頼んでみるかな・・などとぼんやり思い耽りつつカップ酒をグイと飲み干し公園をあとにした。
しかし、その後 老柴犬に会うことは二度と無かった。

166: 名無しさん@おーぷん 2014/05/11(日)07:31:52 ID:???
もう終わりなの?
残念
面白かったです

168: ちーばくん 2014/05/13(火)21:21:31 ID:???
大山傑士シリーズ、じっくり読ませていただきました
おもしろかったですよ

167: 名無しさん@おーぷん 2014/05/13(火)10:32:52 ID:???
オッサン面白かったよ!ありがとう
 

元スレ:http://toro.open2ch.net/test/read.cgi/occult/1395834994/

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オレの名はモス男
周りの者はみなオレの事を「モッサン」と呼ぶ。






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