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904: 本当にあった怖い名無し@\(^o^)/ 2014/05/31(土) 11:52:33.21 ID:slu6CzjS0.net
大学で民俗学のフィールドワークをしていたころの話だ。 
民俗学専攻の学生はどこか一つの村に住み込んで村の伝承を調べさせられるんだけど、 
おれが行った(地図を見て適当に選んだ)A村には、行ってみるとよくわからない伝承があった。 
伝承というより信仰なんだ。あちこちの家に行くんだが、そのどの家にも、タツノオトシゴをかたどった小さな木の人形がある。 
村の人たちはふつうにそれをタツノオトシゴと呼んでいる(特に様をつけたりしない)が、どうやらこの村の神にあたるものらしい。 
人形は、代々受け継ぐ一家に一つのもの、とのことだった。 

A村は海が遠いんだ。だから、なんでこの地域の神が海のものなのか、不思議だった。 
それともう一つ、神がお守りのようなかたちで各家庭にあるのも珍しいケースだった。 
おれは研究テーマをこのタツノオトシゴにすることにした。 

だが調査はすぐに行き詰った。 
神社をあちこち見て回っても、全然関係ないふつうの神が祀ってあるし、神社の古文書を見せてもらっても何も出てこない。 
年寄に聞いても「昔からのものだ」というだけで言い伝えのようなものもない。 
小さな村だから、村史も編纂されていなかった。 

これは結果につながらないと思って、おれはタツノオトシゴの調査をあきらめ、大学には無難に農耕道具のことを書いたレポートを出した。