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690: 680 04/01/24 16:07
話の舞台は岡山県。
ある日の早朝、河川敷で男の変死体が見つかった。
俺の先輩は、その事を新聞で見て知ったんだよ。
そして被害者の顔写真を見たときといったら、血の気が引く思いだったらしい。

そいつは今から俺が話す、「足売り婆さんの話」を聞いたやつだったんだ。。。
名前はM、気の弱い野郎だったそうだ。
そして更に先輩を驚かせてしまったことがある。
その死体の右足がなくなってたことだ。

691: 680 04/01/24 16:08
話はその事件から3ヶ月前の夏。
先輩は部活の合宿中で、被害者Mを含めた連中と麻雀をしてたんだ。
そしてだんだんと夜もふけていった。
部活の合宿てのはいつも定番で、誰かが怖い話を始めちまう。
それで、何人かが、怪談話を話し出したそうだ。
先輩の友達が話し終わると、今度は先輩にまわってきたんだ。

「俺は話してもいいけど、これ聞いて何が起こってもまじ責任取らんぞ。いやいや、マジで!!」
先輩は、そう言い切ったんだな。
そんな事言われたら、みんな結構怖気づいちまった。
でも男が馬鹿にされてたまるかってもんで、やせ我慢で聞き始めたそうだ。
先輩は全員の顔を見回してから、その「足売り婆さんの話」を話し始めたんだ。。。

692: 680 04/01/24 16:11
「これは俺の夢の中の話だ。俺はその日、ぐっすり眠っていた。。。。。。。。。。」
先輩が夢の中の河原にいると、土くれ色の着物を着た婆さんが出て来たそうだ。
その婆さんは河原にしゃがみこんで、何かを探している様子だったんだと。
小石を一枚ずつ裏返している。
ちょっと気になった先輩はその婆さんに近寄ってみた。
婆さんは、まだ石を裏返すのに必死で先輩に気づいていない様子だったそうだ。
「あの。。。。。。お婆ちゃん、こんなとこで何してるわけ?」
先輩がそう聞いたら婆さんはうつむいたまま、
「わしのな。。。。。。。わしの目玉を探しとるんじゃよ。。。。。。」
と言うのだ。

そして、ふとその婆さんが先輩の顔を見上げると。。。。。。。
なるほど、確かにその老婆の目の中は空洞だ。
目玉がない。
先輩は息を飲んだ。

693: 680 04/01/24 16:13
そして、婆さんはこう言ったそうだ。
「坊や。。。。。。。スマンがあんたも探してくれるかエ。。。。。なんとも不自由でのぅ。。。。。。。」
先輩はとても不気味に思った。
逃げ出したかった。
でも仕方なく婆さんと同じように目玉を探してやったそうだ。
しかし、いくら探しても目玉は出てこない。。。。。。。
そしたら、婆さんがポツリともらしたんだと。
「なぁ。。。。。。。坊やがもし目玉を見つけれんかったら、アンさんの右足もらえるかエ?わしが、それを売るけぇ。。。。。。」
と、わけのわからん事を言い出したというんだ。
先輩はものすごい恐怖を覚えて、そこから逃げようとした。

694: 680 04/01/24 16:15
すると婆さんが、
「逃げれんちゃよぉ。。。。。。。アンさん、それとも、足、くれるかのゥ。。。。。。。」
先輩は仕方なく、もう一度うずくまって、必死に目玉を探したそうだ。

そうしながら、チラリと婆さんの方を見た。
そしたら空洞の目でこちらをジーっと見ながら、ニタニタ笑ってたそうだ。
「ワアアアアアァーー!!!!」
先輩は無我夢中で地面を掘り続けた。
そしたら二つの目玉が出てきたんだ。
先輩はホッとした。
そして気味の悪いのも忘れちまって、その目玉をニュっと掴んで婆さんに手渡したんだって。
そしたら婆さんは
「おお、ようやったようやった。。。。。。。すまないのう。。。。。」
と感謝の言葉をはいた。

しかし、明らかにその顔は残念そうに見えたそうだ。。。。
その証拠に、先輩がその場を後にしようとしたとき、後ろでボソっとこうつぶやていたらしい。。。。。。
「もうちょっとだったのにのう。。。。。。。。」
そしてその声を聞きながら、先輩は目が覚めたそうだ。

695: 680 04/01/24 16:17
先輩は息をのんで見守る周りの友人達に向かって、さらにこう付け足した。
「最後に、言っておきたいことがあるんだけど。。。。。。。今俺が話してる話を聞いたらさ、その夜必ずこの婆さんの夢を見るんだよね。。。。。。。実際、俺もこの話は人から聞いたんだよ。そしてこの夢を見たってわけ。でも、もしその婆さんの目玉を見つけられなかったとき、いったいどうなっちまうのか、それはわからないんだ」

この先輩の話を最後にして、怪談話は終わった。
時間は午前3時をまわっていたそうだ。
みんな、寝る前に嫌な話を聞いちまったなぁなんて口にしながら、それでもそれぞれ自分の布団に潜り込んでいったらしい。
ところがMは寝るのが怖くて夜を明かそうとしたんだよ。
だけど練習の疲れもあり、結局明け方に眠ってしまったんだ。。。。。。

ここからはその時Mが見た夢の話だ。

696: 680 04/01/24 16:18
Mは、夢の中でに自分が河原に立っていることに気づいたんだと。
そして、それは夢の中のはずなのに変に現実感があったそうだ。
やはりその老婆は何かを探していた。
逃げたかったが目玉が見つけられないと大変だと思ったので、その老婆に話しかけた。
やはり目玉を探していると言ったそうだ。

先輩の話では、先輩一人に目玉を探させて、それをジーっと見てるだけだったそうだが、Mの場合は違った。
なんと邪魔をしてくるというのだ。
必死に河原を掘っているのに、土をかけて埋めてしまう。
そして急のMの顔を覗き込んだりしたそうだ。
そしてとうとう、Mは目玉を見つけるこができなかったんだって。

そこで目が覚めたそうだ。。。。。
というより、起こされたんだ。
合宿の最中だったからな。
朝のトレーニング時間が来たんだ。

697: 680 04/01/24 16:19
まずMは自分をお起こした新入生にすごく怒って、次にすごく不安そうな顔で、目玉を見つける前に起きてしまったと先輩に話したんだ。
先輩は笑って、「そんなの真に受けてどうすんだよ、どうせ作り話だってぇ。お前があんまり気にするから夢に見ちまっただけだよ。ただの偶然だよ」と、言ってやったそうだ。

ところが、それから3ヶ月、Mは右足のない変死体であがったんよな。。。。。。。」
実は俺もさ、先輩の話を聞いてから例の夢を見たんだけどね、婆さんの目玉を見つけられなかったんだよナ。。。。。。。
ヤバイよ、ぜったいヤバイよ、これは!。。。。。。。

942: 1/5 04/01/26 20:49
このスレの前の方だったかな?
ちょっと気になるレスがあったんでコレを書いてみることにした。
こういう話を書くのは始めてなので、上手く纏まってないかもしれない。
読みにくかったら、ゴメン。

数年前、夜の12時頃に、そのころ付き合ってたSから電話が掛かってきた。
せっぱ詰まったような声と口調で、話の内容がイマイチ理解出来ない。
外にいるみたいなんで、取りあえずウチまで来い、と言った。
Sはタクシーでやって来た。
普段は滅多に使わないのに。部屋に入っても、なかなか座らないで落ち着かない様子。
ゆっくり話してみ、と促すと、Sは自分で煎れた茶を飲みながらこんなことを語った。

943: 2/5 Sの話 04/01/26 20:51
仕事を終え、飯を食べて、自分の部屋に帰り着いたのが11時30分頃だった。
焼き肉を食べたので一刻も早く風呂に入りたかった。
玄関に荷物を置くと、電気も点けずに風呂のドアを開ける。
途端にモワッと煙りのようなものが顔に。
スイッチを探る手が止まった。
湯船が黒い布で覆われている。
その上に──白い花束、火の点いたロウソクが数本。
線香の煙と匂いが充満する中央に、額に入ったモノクロ写真。
ロウソクの灯りに浮かび上がる白い笑顔。
その目が背景と同じ黒に塗り潰されている。

数瞬の思考停止。
やがて足が震えだし、次々と頭をよぎる疑問。
葬式?誰がこんなことを?いつのまに?何のために?どうやって?鍵は掛かっていたし、窓は…閉まってる。
となると、これをやった人は今どこに─その時、押入の方から微かに聞こえてきた。
暗闇の中、サラ…サラ…と紙を一枚ずつ落とすような音。
反射的に体が動き、気が付くとバッグを引っ掴んで外へ。
国道まで無我夢中で走ってそこから電話をした。

944: 3/5 04/01/26 20:52
途切れがちで断片的な印象ったが、Sの話を纏めると大体こんな感じだった。
「泥棒だったらどうしよう…。そう言えば火事も心配だなぁ」
そこで、二人して彼女の部屋に行ってみることにした。
用心のために鉛管を持って。
2階建てのアパートの2階。階段を上がって部屋の前に立つ。
音は聞こえないし何の気配もない。
ドアを開く。鼻をつく線香の匂い。
電気を点け風呂へ。風呂場は聞いた通りの光景だった。
ただロウソクと線香の火は消えている。
遺影の目は墨のようなもので塗りつぶされていた。
粗雑で子供の塗り絵のようだった。

「わああああああああ!!」背後で悲鳴が聞こえた。
風呂場を出ると、Sが開いた押入の前で口に手を当てて固まっている。
押入の上段から大量の髪の毛が床にこぼれ落ちていた。
半端な量ではない。
床に落ちた髪だけで大人一人分どころではなかったと思う。
Sは惚けたように立ち尽くしていた。
なぜか片足が円を描いている。

ちょっと洒落にならないということで俺の携帯で110番した。
「あれ、髪の毛が落ちる音だったんだ…」後ろでSが呟いていた。
警察が来るまで何度も何度も。

945: 4/5 04/01/26 20:56
部屋から無くなっていたものは何もなかった。
風呂場と押入以外の場所が荒らされた形跡もない。
そのせいか、警察は聴き取りしただけであっさり帰ってしまった。
指紋とかを調べるのかと思ったが、そんな事はしなかった。
ただ、風呂場に置かれていたもの一式と大量の髪の毛は、Sのものではない事をしつこいくらい確認してから全部持っていった。

翌日からSは俺の部屋に泊まるようになり、それから半月ほどで俺たちは別れた。
一緒にいる時間が増え、互いの嫌な所が見えてきた、というのもあったかもしれない。
けれど、あの日以来、Sは明らかに変わってしまった。
不機嫌でふさぎ込みがちになり、一日に一度は突然泣き出してしまう。
仕事も休みがちになった。
何を食べても味がしないと言って食事を抜く。
夜中に目が醒めると、Sはテーブルの前に座って鏡を見つめていることもあった。

別れてからのSのことは、同僚だった弟を通じて耳に入ってきた。
日に日におかしくなるSを、家族は病院へ連れて行ったらしい。
検査の結果、癌が見つかった。
発見時にはすでに手遅れで、一月と経たずSはこの世を去ってしまった。

946: 5/5 04/01/26 20:57
一応葬儀には出席した。
段の上の方にはニッコリと笑うSの遺影があった。
鮮やかなカラー写真は、風呂場で見た遺影の陰鬱とは似ても似つかない。
遺体の顔も拝んだ。
思いの外ふくよかで肌も綺麗だった。
ただ、それは「葬儀屋の修復テク」のせいだと後で聞かされた。

「姉ちゃん、ゲッソリ痩せてたのに、綿詰めて化粧したら元気そうに見えるんだもんな」
説明しながら、弟はちょっと涙声になった。
「カツラも着けてもらってさ、薬の副作用で髪の毛ごっそりと抜けちまってたのに…」
警察が来るまで呟いていたSの言葉が耳に蘇って、少し震えた。


引用元: https://hobby4.5ch.net/test/read.cgi/occult/1073924783/