真っ白な玉砂利
霊感主婦さん高校二年の初夏の事。
母方の祖父の四十九日の法事に出た夜、寝入り端に金縛り!!
金縛りに入る前に伽羅の香りがした。
金縛りに入りながら珍しく怖くなかった。
真っ暗な視界がぼぅっと微かに明るくなり裸足の足に冷たい丸い小さな砂利の感覚
思わず足元を見ると真っ白な玉砂利の上に立っている。
広大な場所にいるようだ。
私は白いダボッとした服を着ていて左手に黒い布地か服を提げていた。
亡くなった祖父が僧衣で立っている。
僧侶であるから当然だが、問題は衣の色だ。
なぜ?
黄土色着てるかな?
偉いので葬式の時に見た写真は派手な色彩だった。
祖父は生前と変わらぬ笑顔で私のほうに歩み寄ってきた。
私の手を引寄せて何か石の球体を三つ握らせた。
掌の上の珠は白銀に光り、梵字が記されている。
私は、『じぃちゃん、これなんて読むの?』と問いかけた。
祖父は私に背を向けてスタスタと離れていく。
私は思わず走りだし祖父に追いすがった。
袖に手が届くはずだが、届かず。
祖父の前の地上1メートル程の高さに真っ暗な穴が浮いていた。
祖父は振り返りもせず、言った。
『チャァちゃんは入れないよ。日々励むをだよ。』
祖父はふわりと穴に消えた。
穴は手を伸ばす私の指先で消えた。
私は布団に半身起き上がり、ボーッとしていた。
金縛り中の夢なのか?金縛り自体が夢だったのか?
文章が長くならぬように、かなり省いて記してみた。
真言宗と以前書いていることもあり、僧衣の色で階級特定されちゃうので色は伏せておくね。
駆け込み乗車
霊感主婦さん心霊現象ではないとおもいます。私が体験したもの以外で投稿してみます。
長年宝飾品関係の仕事をしていたのですが、その頃の先輩の遭遇した不思議な事故。
バツイチのパンツスーツの似合うスレンダー美人のNさん、見かけと違って他人を思いやる、ほんわかした優しい女でした。
彼女と同じ現場になるのは珍しい事だったので、当時、バリバリの営業だった私は少し気を遣って接していました。
高い数字をあげるためには、腕の良い派遣ジュエリーコーディネーターの女性を味方につけなければならないから。彼女も高額品に強い腕効きの派遣ジュエリーコーディネーターでした。
展示会の初日がはけての帰路、ジュエリーコーディネーター(以下、JC)の御姉様方と食事をして帰ることに。女性6人で店に入りました。勿論、接待ではありませんから割勘。下戸のNさん以外は全員酒豪です。
食事が済んで駄弁っていたら、Nさんが何気に話しはじめました。
以下は彼女の話。
私、年末の仕事、怪我で出られなくてすみませんでした���皆に替わって貰ってホントに迷惑かけました。ありがとう。
あの時の話をしなくちゃってずっと思ってたの。
12月の10日仕事終わりに、今日みたいにご飯食べて帰ったの。
ここにいるKさんとWさんはいたよね。あの時、Kさんと駅まで一緒に行ったよね。
ちがうホームだから見えなかったと思うけど、アタシはあの時ホームから落ちて怪我したの。
でも、とっても変な事があって落ちてしまったの。
終電の電車が来るアナウンス聴いてホームへの階段を駆け上がったら、丁度電車が来たの。
階段には誰も居なかったけど、電車内には沢山人が見えた。
慌てて駆け込み乗車したら、次の瞬間、線路に落ちていたの。怪我で7針縫ったわ。
私だけでなく、四人の御姉様方も瞬きパチパチ。??
Kさんが口を開いた。
以下はKさんの話。
駅までNさんと確かに一緒だったわね。路線が違うから、下の通路で別れたけどね。
あの時、Nさんのいくホームのアナウンスがあったみたいに思うけど、記憶は定かではないわ。アタシはお酒はいってたからね。
でも、貴女が駆け上がっていく階段は無人ではなかったよ。
誰か男がいたわよ。背の高い黒いロングコート着た奴。
あんたが駆け上がる先に駆け上がっていったよ。
Kさんが話してる間、Wさんはなんだか顔が青ざめていた。何かを振り切るようにWさんが話しはじめた。
怖がらせるつもりじゃないからね。気を悪くしないでね。
あの時、ご飯食べた店を出た後さ、駅の改札前で私は別れたけどね。
NさんとKさんのピッタリすぐ後ろに背の高い黒いロングコートの男性がいたよ。気味悪いわぁ。
私は一言も発言せずに聴いていました。
なにより私が驚いたのは、ホームに電車が入ってないのに、幻の満員終電がいたのをNさんが見たことを誰一人疑わないって現実。
そして黒いコートの男はなんだったのか。
Nさん、KさんWさんは霊感あるらしい。
私は仕事仲間には秘密にしていました。
勝てない相手
霊感主婦さん今も悲しく辛い、そして不安に思っている怪異です。
数年前、大切な従弟を喪いました。彼は僧侶でした。私の一番の理解者でした。
彼は郷里をはなれ、東京の大学に入りました。当時、私は都内百貨店勤務でしたのでよく食事に出掛けたり呑んだりしていました。飲みに出る時には彼の友人も加わることも度々で、彼等は皆弟のようでした。
彼等も四年生になり単位も足りているようでワンダーフォーゲル部の活動とやらで、北関東か南東北の山に出かけた折りのこと。
私はこの時の怪異を今でも恐れています。
初夏の夜半に従弟から電話がありました。
『お姉ちゃん、俺な、ヤバイかもしれない。』
彼の沈んだ声を聴きながら、私の眼前にはある光景が広がりました。渓流の傍の新緑の山道が、段々と鬱蒼とした杉や檜の木立になり、やがては深い山奥に。そして、巨木に囲まれた一角には”注連縄(しめなわ)”が張られており、中にはやはり注連縄が巻かれた巨石が。
彼の話を聴きながら、巨石から圧迫されるようなとても強い力を感じました。
彼と山に同行した友人達が全員、次々と交通事故にあったというのが話の内容でした。従弟は軽い事故でしたが、事故後のレントゲン検査の画像で頸椎に塊、影がありなにか重病の可能性を医師からほのめかされたというのです。近日、詳しく検査の必要ありと。
彼の話が終るか終らないかのタイミングで私は焦って話を遮りました。
『ちょっと待ってヨシ君、古い注連縄張った場所に入らなかった?』
『入らないよ、でもその近くで弁当食べたな。』
『なんで、そんなとこで食べんのよ、バカ』
『平らな場所がそこしかなかったもん』
彼等は御神体の回りでピクニックしてしまったようでした。
かなり昔に信仰されていたようで、現在は寂れてしまったようでした。
私は念のため、食べる前何かを供えたかきいてみました。予想通り、彼等は思いつきもしなかったようです。注連縄の中だけが聖域ではないのです。神、場合によっては鬼神の通る道の上に入り込み、飲み食いしてしまったのです。
私に光景を見せているのは、おそらく警告だろうと思いました。従弟には、酒と米か白飯、半紙を用意して午前中に、全員でその場所に供えてくる旨を伝えました。
私は電話を一旦切らせてもらいました。
しかし、岩は見えています。自室の机に半紙を敷き、日本酒、米、塩を備えました。
耳鳴りがして、それから山のなかの風の音をききました。普段の金縛りの時のように蹴散らすことは、まったく考えられない巨大な力を感じました。
数日後、彼等は出掛けていきましたが、山の裾で恐怖で足がすくんでしまったため、現場には行けなかったとのこと。風呂敷を広げ、供物と酒を供え、祈るので精一杯。逃げ帰ってきたようです。
私は二、三日耳鳴りに悩まされました。
その後の精密検査で従弟の頸椎に異常は見られず、何事もなく彼は本山にあがり僧侶となりました。
ごく普通に結婚し、男児二名、女児一名の三人の子をもうけました。末の娘が誕生したその年、脳に腫瘍が見つかりました。七年も手を尽くし治療をこころみましたが、力尽きました。
彼の病が、あの山の怪異に起因するのかどうか、不安になります。
あの時の対処が、なにか足らなかったのか?何か間違っていたのか?
巨石の記憶がフラッシュバックのように蘇る時、非常な恐怖を感じます。
金縛りやら怪光やらは恐怖の対象ではありませんが、あの岩だけは恐れています。
圧倒的な巨大な力には戦意すら起きません。
抗いようのない相手には、誉めちぎり平伏して許しを乞うしかないのです。
許されない場合もあるかもしれません。
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