37: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 03/04/01 00:19
その事務所は、渋谷の道玄坂にある鰻の寝床のように細長い 9階建てのビルの6階あった。
坂の途中にある事務所6階の窓からは、円山町のホテル街、向かいにはキャバクラ、背後は有名なヌード劇場とそれは素晴らしい眺めであったと、今でも覚えている。
以前からこのビルにおいては様々な怪異現象が起きており、 霊感のある部下『N』(『伸びる手』等に出演)に言わせれば 『霊道』なる幽霊の通り道がこの事務所の部屋を横断しており、怪異現象の原因はすべてこれがが関係しているらしい。
吸っていた煙草が突然灰皿から消える。
事務所内に誰もいないのに机や椅子がバンバン叩かれる音がする。
揚げ句のはては6階の窓ガラスが突然うなり声をあげ、外から誰かがこじ開ける様にバタバタ震える…。
また、こういった話を事務所でしていると、部下の言う「霊道」の中に座って仕事をしている同僚が影響を受け、突然頭痛を起こし倒れるというようなハプニングが起きたりした。
様々な怪異の中で一番頻繁にあったのが仕事中に突然、耳もとで女性のささやき声がする、と言ったものであった。
それは、注意していないと何と言っているのか分からないような声なのだが、テレビもラジオもついていない窓を締め切った室内で聞こえるのだ。
外から聞こえる街頭のアナウンスの声などとははっきり違うのは、耳元でささやくその息づかいまでもが肩越しに聞こえる事であった。
さすがに、これには大半の社員がまいった。