597: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 03/04/23 23:54
土地の古老ってことばはすっかり死語ですが、まだ私の子供の頃にはいたんです
よね。土地の昔話や(年齢がばれますが)若いみなさんは聞いたこともないだろう
「日露戦争従軍記」なんてものまで語ってもらったりもしました。当時で90はいって
たんではないでしょうか。いわゆる「ぼけ」もなく矍鑠としていて、とにかくいろいろ
な話を聞かせてもらいました。これもそのひとつです。とりあえず「古老」じゃあまり
よろしくないので、以下ではとりあえずSさんということにしましょう。
先に申し上げておきますが、これはSさんが語ったことを記憶だけをたよりに「洒落
こわ風味に」書いてみたものです。ただ、余計な脚色はしてません。Sさんの本当
の体験か子供であった私を怖がらせようとして作った話か、まったくこちらにもわか
りませんが、私の方でつけたした部分はありません。

大正の頃のこと。
ある日、Sさんの家のそばにある川で水死体があがったそうです。
若い男性で、近所の人はだれも知らない人。どこか別の土地から来た人だったみた
いです。自殺か事故か、それとも他殺か、それもはっきりしない。身元をあきらかにで
きるものも持っておらず、しかたがないのでとりあえず○○寺まで運んでお経だけで
もあげてもらおうということになった。で、Sさんが○○寺まで運ぶことになったそうで
す。

598: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 03/04/23 23:56
つづき

大八車っていうんですか、よく時代劇なんかにでてくる荷車。大八車そのものかど
うかわかりませんが、とにかくあれみたいなものに乗せて死体を寺まで運ぶことに
なった。死体に筵をかぶせて紐で固定し寺へと向かったそうです。
その途中。ごろごろという車輪の音のほかに妙な音がする。・・・・Sさんは服をこす
りながら、「ちょうどこんな感じの音が」といってました。スルスルという感じの音です。
とにかくそのスルスルという音がついてくる。
なんだろうと振り返ってもなにもない。死体が変なところでこすれているのかと確認
しても固定した紐が緩んでいる様子もない。首をかしげながらまた荷車を引きはじ
めると、やはり音がついてくる。スルスルスルスル・・・・Sさんが立ち止まると音は
やむが動き始めるとついてくる。
だんだん気持ち悪くなりながらもようやく○○寺について、住職に話をして死体を運
ぼうと筵を開いた時、住職がこういったそうです。
「おや、もうひとりの方はどうしたね?」

599: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 03/04/23 23:57
つづき

もうひとり?なんのことかわからず問いただすと、住職は「これは心中だよ。女の方は
どうした?」というんです。いよいよわけがわからず、Sさんが「いや死んでたのはこの人だけでした」と答えると住職は、こう言ったそうです。
「Sさん、あんた、車のうしろに女の人がついてきたのに気がつかなかったか?」
住職には見えたのだそうです。女の人がずっとついて来てるのが。
「今も立ってるよ。この男の人のそばにね。……女の方の亡骸を探しなさい。ふたり
そろわぬことには成仏もできまい」
こう言われてSさんは慌てて川に走ったそうです…・・その後川の少し上流で女性の
死体が見つかったそうです。どうやらいっしょに飛びこんだあと結んでいた紐が切れ
てしまったようで、別々に死体があがることになってしまったらしいとのこと。

Sさんはこんな感じのことを言ってました。
「どうやらあのスルスルというのは着物の女が歩くときにする衣擦れの音だったのか
な」


そういえば、私は「心中」とか「衣擦れ」とかいうことばをこの話ではじめて教えてもら
いましたなあ…・

600: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 03/04/24 00:14
>>597
それに似た話で、昔旅をしていた男のあとをスルスルと音をたてて
紐が地面を這っていつまでもいつまでもついてくる。結局その男は
プレッシャーに勝てず、その紐で首を吊ってしまった。

ってな話を、日本昔話で見たことがある気がする。

紐の由来などは不明で、不可解な恐さがあった。

601: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 03/04/24 00:28
>>600
597です
それこわいですね
Sさんの話もひょっとしたら衣擦れではなく死体と霊とをつなぐ紐の音だったんでしょうか?

こっちも記憶が曖昧なんで、不正確・不明瞭なはなしになってますですが、こういうなにかが
ついてくる話ってやっぱり不気味です

606: 1/7 03/04/24 04:15
友達Aに聞いた話。

Aはド田舎の病院で雑用をしているんだが、ある日病院に見知らぬおばさ
んがやって来たそうだ。田舎なんで、顔見知りでない患者さんが来ること
なんてまずないらしい。

で、医者が診察しようとすると、 とにかく言動がおかしい。あなたは娘の目玉を取っただろうとか、あなたの足は濡れています、とか支離滅裂な事を言う。

で、何が言いたいかよく分からないんだが、どうやらその医者に文句を言いたいらしい。
それで、もてあました医者がAに相手をするように押し付けたそうだ。まあ、追い出しても良かったんだが、あやしい事に首を突っ込むのが好きな Aは、とりあえずおばさんの話を聞くことにした。

607: 2/7 03/04/24 04:15
Aは別室に案内しお茶を出したそうだが、おばさんは腰を曲げて湯のみまで鼻を近づけ、くんくんと臭いをかぐとプイとそっぽを向いて顔をしかめた。そしてやたらと両手で鼻のあたりを拭うような仕草をする。それきり口をつけようともしない。

もうそのあたりで物好きなAのツボにはまったらしい。で、話を聞き始めたんだが、もう本当に何を言っているのかさっぱり分からない。5秒もせずに話題が次々に変わる。

どうも自分の娘が医者のせいで被害を受けた、と言いたいのだろうかということだけかろうじて伝わったそうだ。

しかし、この前河原を通ったらフナが落ちていたとか、さっきの看護婦は犬の臭いがするとか、ほとんどは意味不明の話だった。

608: 3/7 03/04/24 04:16
Aは段々おかしくなってきて、つい吹き出して笑ってしまった。すると、おばさんはキッとAを睨み付け、ひじをちょっと曲げたまま両手を前に突き出し、空中を引っ掻くような 素振りを見せ、そのまま走って帰っていった。

Aはしばらく笑い転げていたらしい。

609: 4/7 03/04/24 04:17
さて、その日の仕事を終え、家へと帰る道を車を運転して通っていると、竹やぶの中を通る道に差し掛かった。すると右手のやぶの奥で、チラチラ光るものが見える。
Aは火でも燃えているのかと心配になって、車を道に止め、やぶに分け入った。山火事になると大変だからだ。

まだわずかに日が残っていたため、薄っすらとだが足元は見える。しばらく光の方へ進むと、どうも火が燃えているのではないようだと分かったが、今度は光が何なのかが純粋に気になった。

ふと気がつくと、あたりはもう真っ暗。目指していた光もどこへ消えたか、全然見当たらなくなっていた。田舎の夜は暗い。その日は月も出ていなかったのでなおさらだ。身動きもとれない状態になって、しばらくの間、途方にくれていた。

613: 5/7 03/04/24 04:31
すると、少しづつだが暗闇に目が慣れてきた。よかった、道まで引き返そうと足を踏み出した瞬間、自分の正面、数十センチも離れぬ位置に人が突っ立っているのに気付き、ギョッとした。腰が抜けた状態になってしまったそうだ。

ライターを持っていることを思い出し火をつけると、背筋が凍った。20代半ばの女が立っているのだが、両目とも白く白濁していて、口をパクパクさせている。そして、何故か着ている服がAと全く同じなのだ。上は茶色のジャンパーで下はアディダスの3本ラインの入ったジャージ。服からは獣臭さがプンと臭った。

そこでいったんAの記憶は途切れる。

615: 6/7 03/04/24 04:31
気がつくと病院へと向かう道を車を運転していた。あたりは明るい。わけも分からずそのまま病院へ着くと、医者が朝食をとっているところだった。今日は早いなー、と言われ、Aはしばらくぽかーんとしていた。

どうも気付かないうちに一晩たっていたらしい。しょうがないので、そのまま働き始めた。

すると、物を持つ時に両手が引き攣ったように痛む。何故だろうと、手を見て吃驚した。両手とも、指と指の股の部分の肉がサイコロひとつ分ほどづつえぐられて、なくなっているのだ。

それを見たとたん、物凄い痛みに襲われて、たまらず医者のところへ駆け込んだ。治療してもらおうとすると、おまえ唇どうしたんだ、と医者が驚いた様に言う。鏡で見ると上下の唇の肉がくちゃくちゃに噛み潰されたような酷い有様になっている。

よく顔を見ると耳たぶも、やわらかい部分の肉がほとんどえぐられて無くなっていた。こちらも気付くと同時に凄まじく痛み始めたそうだ。

616: 7/7 03/04/24 04:32
なんか尻切れトンボだが、話はここまで。今のところ、特に後日談もない。おばさんにも竹やぶであった女にも、その日以来一度も会わなかったそうだ。

このあいだ久しぶりにAと会ったが、唇の傷はまだちょっと残っていた。耳たぶはなくなったままだ。

Aは、狐に化かされたなどと時代錯誤なことを言っている。

618: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 03/04/24 04:39
謎めいた話ですな・・・

617: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 03/04/24 04:39
怖い話キター!!!
訳の判らないまま終るのが自分的には良い。
どことなく「自己責任」「山の測量」を思い出させるのも怖い
>>616
乙です

318: 1/2 03/04/20 23:04
叔父に聞いた話。
今はどうか知らないが、昔は当り屋という商売があった。
自分で車にぶつかっておいて運転手に因縁をつけ、慰謝料や口止め両を
ふんだくるという、ヤクザな生業だ。

叔父が小学生のころ、自転車ごと車にはねられたことがあった。
幸いたいした怪我もなかったのだが、運転手が車から降りてくると
突然見知らぬオッサンが横から現れて
「おい、俺のガキになんてことしてくれたんや」
と運転手に迫った。
叔父が怖さと痛さで泣いていると、オッサンは金銭を要求しだした。
もめた末、オッサンが運転手をどつくと運転手は
悲鳴をあげて車に乗り込んであっという間に逃げてしまった。

319: 1/2 03/04/20 23:05
オッサンは「済まんかったな坊主」といって慰めてくれた。
叔父はなんとなくこの人は当り屋だと分かったという。
それを聞いてみると、
「俺はな、むかし無茶しすぎていま体ボロボロや。
 首は何度もやったし、肋骨も一本ないんやで」
そう言って胸を触らせてくれた。
その時異様な胸の冷たさに叔父はぞっとしたという。
「それにな、心臓もないんや」
無理やり触らされると、そこも冷たくて確かに鼓動はなかった。
「じゃあ、俺あの運転手追いかけるわ」
そういうとオッサンは叔父を残して去っていった。

あれはこの世のものではなかった、と口癖のように言う。

324: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 03/04/20 23:41
>>319
うん、シンプルで怖かった。

325: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 03/04/20 23:43
当たり屋幽霊は良い奴か。

     Comment (4)

      • 1. 丑三つ時の名無しさん
      • 2019年10月22日 10:55
      • 当り屋幽霊のどこが、いいやつなんだよ
        ゴミみたいな商売やって死んでから逆恨みってクズにもほどがあるでしょ
      • 0
        みつこ

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      • 2. 丑三つ時の名無しさん
      • 2019年10月22日 12:55
      • お腹減ってイライラしてんのか?牡蠣でも食え
      • 0
        みつこ

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      • 3. 名無しさん
      • 2019年10月22日 19:26
      • おばさんの話怖い
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        みつこ

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      • 4. 名無しさん
      • 2019年10月29日 18:08
      • 八つ当たり屋か
      • 0
        みつこ

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