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奇々怪々様より人気の怖い話

今回も怖い話投稿サイト「奇々怪々」様から面白いお話をご紹介いたします!


怖くて不思議でなんだか昔話にありそうな話モス

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迷い家

会社員の竹田さんが体験した話です。

竹田さんの会社では毎週末社長の奢りで飲み会をやるのが恒例となっていました。
まだアルハラなんて言葉がない時代の話ですので、竹田さんは決して酒に強いわけではなかったのですが、それでも付き合いとして毎週二次会、三次会まで拘束されるのが常でした。
もちろん場の雰囲気を悪くしない程度にペースは抑えていましたが、それでも三次会まで拘束されるとなればどうしても酔いは回ってしまいます。
結局その日も、竹田さんはべろんべろんの千鳥足状態で家路に着く羽目になりました。

腕時計を見ると、時刻は既に深夜二時を過ぎている。
竹田さんの奥さんは、夫の帰りがどれだけ遅くなろうとも起きて待っていてくれるタイプでした。
酔ってふわふわになった頭でもそのことに申し訳なさを覚えるくらいの良心はあったため、武田さんはおぼつかない足取りながらも家路を急いだそうです。

どれくらい歩いた頃か。
ふと竹田さんが道の先を見やると、玄関先に灯った明かりが目に入りました。

「おうい、あなた」
おもむろに竹田さんが足を止めると、家の前に奥さんが出てきて彼に向けて手を振ったそうです。
夫婦になってもう二十年以上経ちますが、こんなに遅くなっても笑顔で出迎えてくれる健気な妻の姿に竹田さんは思わず笑みをこぼしました。

悪い、遅くなった。途中で帰れる雰囲気じゃなくてさ。
ろれつの怪しい口で詫びながら、奥さんに肩を貸されて我が家に入る竹田さん。
家に入るなり、傍らにぴったりと付き添われて寝室に向かう。
襖を開けると和室の中には布団が敷かれていて、その脇に浅葱色の寝間着が畳んである……まさに至れり尽くせりでした。

奥さんが襖を閉じる。
その後ろでは、竹田さんの息子が笑顔で「おやすみ」と手を振っていたそうです。
今年で高校生になる自慢の一人息子。親思いのいい子に育ってくれたなと思いつつ、竹田さんは用意されていた寝間着に着替えようとした……のですが、どうやら思った以上に酔いが回っていたらしく。
あるいは家に着いたことで気が抜けたのか、竹田さんは結局着替えることなくそのまま布団に飛び込んでしまいました。
そうして寝入り出した竹田さんだったが、彼の睡眠は耳障りな電子音に妨げられました。
スーツの中の携帯電話が、メールを受信したことを告げる通知音を鳴らしたのです。
せっかく気持ちよく眠ろうと思っていたところを邪魔立てされて苛立ちながらも、寝ぼけまなこで携帯を弄り今しがた受信したメールに目を通す竹田さん。

メールの主は、奥さんでした。

『まだ帰ってこれないの?』 
メールの文面には、そんな文章が躍っている。
それを見た竹田さんが狐につままれたような顔をしてしまったのは無理のないことでしょう。
わざわざ家の前まで出てきて出迎えてくれたのは他でもない彼女自身だというのに。

ははあ、あいつ寝ぼけてるんだな。
まあ時間ももう遅いし、仕方のないことかもしれない。
悪いのはこんな時間まで待たせてしまった俺の方か。

いつになくとんちんかんなことをしている奥さんのことを微笑ましく思いながら竹田さんはごろんと右に寝返りを打ったそうです。
視界に入るのは見慣れた和室の風景。布団以外には何もなくて、かなり広い。
いつも自分が寝ている住み慣れた部屋―――と。そこまで考えたところで、竹田さんはふと思ったそうです。


あれ。俺の家に和室なんてないよな?


マイホームを買う際、竹田さんは和室を欲しがりました。
けれど奥さんが頑なにそれに反対したのです。
なんでも彼女の実家で畳から大量の虫が涌いたことがあり、それが原因で畳が大嫌いになってしまったのだという話でした。
だから、自分の家に和室はない。でも、自分は今間違いなく和室で寝かされている。これはどういうことだろう?
いや、そもそも自分はいつも夫婦共用の寝室で寝ているはずではなかったか。
なのにどうしてこんな部屋で寝かされている? 
最初は、ただ疑問に思うだけでした。
けれどその疑問が恐怖に形を変えるまで、さほど時間はかかりませんでした。
和室の件に続いて、竹田さんはもうひとつのおかしなことに気付いたからです。

我が家に、子どもはいない。
妻はもう何年も不妊の治療をしているが、未だにそれが実を結んだ試しはない。
じゃあ、ついさっき「おやすみ」と自分に笑いかけ、手を振っていたあの少年は誰なのか?
なぜ自分はあれのことを、“今年で高校生になる、自慢の一人息子”などと思っていたのか?

ぞわぞわぞわっ、と背筋が粟立つのがわかりました。

何かがおかしい。
何か、とてもおかしなことが起きている。
すっかり酔いが醒めた竹田さんは、畳の上に無造作に投げ捨てた鞄を拾うのも忘れて襖を開け、飛び出しました。
布団の隅に添えられたままの寝間着が一瞬目に入ったが、よくよく考えるとあんな爺臭い色の寝間着に見覚えはありません。

この家に居たら、まずい。
絶対によくないことになる。
幸い居間の電気は消えており、家族は……いや。“この家の住人”たちは寝ているようでした。

玄関の三和土に着くなり靴を履こうとするが、こういう時に限って手間取ってしまいなかなかうまく履けない。
焦燥の中、竹田さんは自分の背後から迫ってくるどんどんどんどんという荒い足音を聞きました。
もう靴などどうでもいい。気にしている場合じゃない。
うあぁぁああっ、と調子の外れた悲鳴をあげながら外まで飛び出し、扉を閉める。
その時一瞬、竹田さんは見てしまったそうです。

能面のような無表情でこちらに迫ってくる、老婆の姿を。
竹田さんが最愛の妻だと思っていたのは顔中しわくちゃで、目元に大きな染みのある、白髪頭の老婆だったのです。


その後、竹田さんは幸い無事家に帰ることができたと言います。
しかし鞄を落とし、靴も履かずに帰ってきた竹田さんは奥さんにものすごい剣幕で叱られたらしく、それ以降竹田家では飲み会の二次会参加が厳禁となったそうなのですが……それはさておき。

後日、昼間に恐る恐るあの家があった場所を訪れてみると、そこには一軒家ではなくごく普通のアパートが建っていたといいます。
一応調べてみたものの、特に事故だの自殺だのがあったり、アパートが建つ前に何かあったとかそういう謂れもなかったとか。
奥さんはこの話を悪酔いの産物、酔っ払いの見た夢だと笑ったらしいですが、竹田さんはどうにもそうとは思えないそうです。

そんな竹田さんには、誰かにこの話をするたび思うことがあるらしいのです。
あの時、和室に敷かれた布団の横に畳んで添えられていた浅葱色の寝間着。
この話をする度、あのなんてことのない地味な寝間着のことが頭を過るのだそうで。

「多分だけどさ、俺あの時、寝間着を着てたら帰って来れなかったんじゃないかなあ」
そう語ってくれた竹田さんは、今もあの“家”が現れた団地に住み続けているようです。


引用元:迷い家 作者:LAMY- 奇々怪々

迷い家…なのだろうか…
もし異世界に入り込んでいたのだとしたら…何かを口にしていたら帰れなかったのかもしれない…


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